参加型 SNSキャンペーンにおける体験の面白さ【海外事例】

参加型マーケティングとは

SNSを活用したマーケティング施策の多くで、消費者参加型のプロモーション活動が行われています。

 

消費者がコンテンツに参加し、体験できるような仕組みを通じて、商品やブランドの認知、継続的な関係の構築を狙う「参加型マーケティング」は、近年ますます重要性が高まっています。情報があふれる現代において、マーケティングは画一的かつ一方的なマスコミュニケーションから、個別最適化された双方向型のミニコミュニケーションへと変化。参加型マーケティングも、その潮流の一部として位置づけられるのです。

 

SNSを活用して共有・発信を促す

参加型マーケティングは、消費者が日常的にコンテンツ(テキスト、写真、動画など)を発信するSNSと相性抜群です。

 

今回は、SNSを活用した参加型マーケティングの海外事例を3つご紹介しましょう。いずれも、マーケティング会社Access Intelligenceによる世界最大の体験型マーケティング認定プログラム「EX Awards」を2021年に受賞した好事例となっています。

(参考:EX Awards Webサイト

 

氷が解けきる時間を予測:NBC Sports

アメリカの放送ネットワークNBCのスポーツ中継部門を担うNBC Sportsは、NHL(北米プロアイスホッケーリーグ)のプレーオフトーナメントのプロモーション施策として、参加型キャンペーンを実施しています。コロナ禍で中断していた同リーグ2019-2020シーズンが2020年8月に再開するのを祝い、季節外れのホッケーを盛り上げることを狙いました。

 

こちらの企画では、600ポンド(約270キロ)の氷に巨大なホッケーパックをはめ込んだインスタレーションをNBC Sports本社前に設置。設置から何時間・何分・何秒後に氷が解けるかの予想を事前にWeb上の特設サイトで受けつけ、参加者のうち1名にプレーオフの試合観戦権を授与する懸賞を行いました。当日は、氷とホッケーパックの設置から氷が解けるまでの様子を約4時間にわたってYouTubeやフェイスブック、ツイッターでライブ配信しています。

この結果、アメリカ全土から数千人規模の応募が集まり、SNSでは数百万のインプレッションを獲得。アメリカの著名なTV番組「TODAYショー」などでも取り上げられるなど、マスメディアからも注目を集めました。

 

従来も行われてきた「消費者が予測する」タイプの参加型キャンペーンに、リアルタイムイベントの要素を取り入れることで、より臨場感のある体験を提供している事例だといえます。

 

お店ができた場所はどこでしょう?:T-Mobile ,OnePlus 

モバイルキャリアのT-MobileとスマートフォンメーカーOnePlusが新商品「8T」をプロモーションした事例では、同商品が5G対応であることにちなんだキャンペーンを実施しています。

 

こちらでは、アメリカ国内の5Gネットワーク圏内の限界地点にポップアップストア「Go Farther stores」を3店設置。併せて、店舗の場所を地図から推測、解答できる特設サイトを開設し、正確な予想をした参加者は「8T」端末や最高5,000ドル(約62万円)の賞金を獲得できる懸賞を行いました。

 (参考:T-Mobile Webサイト

 

店舗の場所を示唆するヒントがツイッターやフェイスブックのT-Mobile公式アカウントで発信されたことから、SNS上で大きな盛り上がりを見せました。

 

以上の結果、7日間にわたるキャンペーン期間中は、1分あたり平均1,900回にも上るサイト訪問数を達成。店舗予測の数は41,000を超えたといいます。

 

「予測」という能動的な参加体験と、バーチャルな旅行体験を掛け合わせて提供し、新商品の認知拡大に活かした事例となっています。

 

ミニチュアの世界を探訪:Magnum

シンガポールのアイスクリームブランドMagnumの新商品「Magnum Matcha」のプロモーションでは、抹茶にちなんで日本文化を感じられるジオラマ「Magnum Mini Matcha World」を制作し、スマートフォン上でミニチュア世界をバーチャル観光できるWebサイトを公開しています。

このミニチュア世界では「宝探し」を楽しむことが可能。例えば、ミニチュア世界の中にランダムに隠された抹茶アイスクリームをいち早く見つけた参加者はクーポンをゲットでき、無料サンプルを獲得できます。さらに、フェイスブック上で提示された「お題」を見つけた人は、そのスクリーンショットをフェイスブック上にアップすると、最高で2,236シンガポールドル(約20万円)相当の賞品を獲得できるようになっています。

 

この「Magnum Mini Matcha World」は2週間で32,352のサイト訪問数を達成、SNS上でのコンテストの応募者数は2,500を超えたといいます。

 (参考:Magnum Webサイト

バーチャル旅行体験にゲーム要素を組み込み、効果的に新商品の認知拡大を行っている事例です。

 

ますます重要になる体験設計

以上のように、SNSの進化・深化によって、参加型マーケティングで提供できる体験は拡張しています。

中でも、キャンペーン参加者がSNSを通じて、より一体感を得られるようになっている点は見逃せません。SNS上で参加者自ら予測や考察を発信したり、それらを別の参加者が閲覧したりする「体験の共有」も、またひとつの体験になるのです。加えて、リアルタイムでオンラインイベントに参加したり、現実世界をオンラインで探索したりと、リアルとオンラインが融合する感覚を提供できるのもSNSならではだといえるでしょう。

 

いまやSNSと切っても切り離せない参加型マーケティングにおいて、いかに体験を設計するかがより強く問われるようになっています。

 
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